消化に良いわけでもないのに、なぜかむしゃむしゃ食べてしまう。 It doesn't even help digestion — so why do dogs munch on grass anyway?
草を食べる理由は獣医学的にも未解明ですが、「野生時代の名残」「食物繊維不足を補う」「味や食感が好き」の3説が有力です。UC Davisの調査では、草を食べる前に体調不良のそぶりを見せた犬は1割未満でした。
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よくある光景、でも理由は実ははっきりしていない
犬が草を食べる理由は獣医学的にもまだ完全には解明されておらず、消化できないのになぜか食べてしまう謎の習性、というのが正直なところです。散歩中や庭先で、草をむしゃむしゃと食べる犬は少なくありません。
あまりに日常的な光景なので、気にも留めない飼い主も多いでしょう。犬の消化器官は草の繊維質(セルロース)をほとんど分解できないため、栄養補給が目的とは考えにくく、それでも多くの犬が草を求めるという、なんとも「ざんねん」な謎に包まれた習性なのです。
アメリカ・カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)獣医学部の研究チームが飼い主約1600人を対象に行った調査でも、草を食べる前に体調不良のそぶりを見せていた犬は1割に満たなかったと報告されており、「具合が悪いから草で吐く」という通説だけでは説明しきれないことが示されています(Sueda, Hart & Cliff, 2008, Applied Animal Behaviour Science)。
出典: Sueda, K.L.C., Hart, B.L. & Cliff, K.D. "Characterisation of plant eating in dogs" Applied Animal Behaviour Science, 2008. sciencedirect.com
有力な説はいくつかある
有力なのは「野生時代の名残」「食物繊維不足を補う」「単に味や食感が好き」の3説で、実際には複数の理由が組み合わさっているとも考えられています。ひとつは「野生時代の名残」説で、犬の祖先であるオオカミが獲物の胃の中に残った植物質を一緒に食べていた習慣が残っているという考え方。
ふたつめは「食物繊維不足を補おうとしている」説で、お腹の調子を整えるために本能的に草を求めているという考え方。みっつめは「単純に味や食感が好き」説で、退屈しのぎや味覚的な好奇心から口にしているだけという考え方です。
いずれも決定的な証拠はなく、どれか一つに絞り込めないのが現状です。
- 野生時代の名残:オオカミが獲物の胃の中の植物質を一緒に食べていた習慣の名残という説
- 食物繊維不足を補う:お腹の調子を整えるため本能的に草を求めているという説
- 味や食感が好き:退屈しのぎや味覚的な好奇心から口にしているだけという説
吐いてしまうこともあるが、心配しすぎなくてOK
草を食べて吐くのは多くの場合一時的なもので心配しすぎる必要はありませんが、繰り返す嘔吐や食欲不振を伴うなら獣医師に相談するのが安心です。草を食べたあとに吐き戻してしまうのは、草の繊維が胃の粘膜を刺激するためです。
むしろ「お腹の調子が悪いから、自分で草を食べて吐いて楽になろうとしている」という行動だと考える研究者もいます。ただし、頻繁に大量の草を欲しがる、繰り返し嘔吐する、食欲不振を伴うといった様子が見られる場合は、消化器の不調など別の原因が隠れている可能性もあるので、いつもと違うと感じたら迷わず獣医師へ。
犬の祖先とされる野生のオオカミも、実は完全な肉食動物ではありません。獲物の内臓や胃の中身を通じて一定量の植物質を摂取しており、「肉食寄りの雑食」に近い食性を持っていることが分かっています。犬が草を欲しがるのも、こうした祖先譲りの名残なのかもしれません。