豆知識

犬はなぜ人のあくびがうつるの?

あくびをする飼い主につられてあくびをしかけている犬のイラスト

飼い主があくびをした直後、足元の犬もふわぁと口を開ける。そんな光景に見覚えはありませんか。実はこの「もらいあくび」、犬と人の絆を映す現象なのです。 Ever yawned and caught your dog doing it too? Turns out it's a sign of your bond.

この記事の結論

犬のもらいあくびは、見知らぬ人より飼い主のあくびの方がうつりやすいと東京大学の研究(2025年)で示されました。心拍数の計測から、ストレスではなく飼い主との絆・共感によるものだと考えられています。

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あくびは人から人へ、そして人から犬へも「うつる」

あくびの伝染は人同士だけでなく人から犬へも起こることが確認されており、犬が人の仕草をよく見ている証拠と言えそうです。誰かのあくびを見ていると、自分まで口が開いてしまう。

この「もらいあくび」は多くの人が経験している現象で、専門的には「あくびの伝染」と呼ばれます。面白いのは、これが種の壁を越えて犬にも起こることで、それだけ犬が人の仕草をよく見て、私たちの状態に反応しているのだと考えられます。

飼い主のあくびほどうつりやすい。東京大学の研究

答えは「飼い主との絆」で、犬のもらいあくびは不安やストレスではなく、共感や絆によって起きることが研究で示されています。2025年に発表された東京大学の研究では、見知らぬ人のあくびよりも、飼い主のあくびの方が犬にうつりやすいことが分かりました。

さらにこの研究では、あくびがうつる場面での犬の心拍数も計測しており、それが不安やストレスによる反応ではないことを初めて示した点も注目されました。「飼い主だからこそうつる」というわけです。

出典: "人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要であることを証明" 東京大学, 2025. u-tokyo.ac.jp

あくびがうつるのは「共感」のしるし?

まだ仮説の段階ですが、あくびの伝染は相手の状態に心を寄せる「共感」が体に表れたものだと考えられています。誰かが疲れている様子を見ると、その人に共感している側もつられて疲れを感じてしまう。

あくびの伝染は、そうした感情の共有の表れだというわけです。この仮説に立てば、見知らぬ人より飼い主のあくびの方が犬にうつりやすいという結果もしっくりきます。

犬は飼い主に強く心を寄せているからこそ、その「疲れた」というサインを受け取りやすいのかもしれません。

そもそも、なぜあくびは出るの?

あくびが出る理由としては「脳を冷やすため」という仮説が有力視されていますが、異論もあり、まだ完全には決着していません。この仮説によれば、深く息を吸い込むことで脳に流れる血液がわずかに冷やされ、あごを大きく開くことで脳への血流も増える。

つまりあくびは、熱を持った脳をひと息で冷ます、体に備わったちょっとした冷却装置だというわけです。脳が大きい動物ほどあくびの時間が長くなる傾向があるという研究結果もあり、この仮説を裏付ける材料の一つとされています。

ただし、2010年のレビュー研究では証拠が不十分だという指摘も出ています。飼い主のあくびを見てふわぁと口を開ける犬も、もしかすると脳をひと息冷やしているのかもしれませんね。

出典: Gallup, A.C. "Yawning as an Evolved Brain Cooling Mechanism" University at Albany, 2007. albany.edu

豆知識プラスワン

犬の祖先にあたるオオカミでも、仲間同士であくびがうつることが研究で確認されており、ナショナルジオグラフィックでも報じられています。仲間の状態を感じ取る力は、犬が人と暮らし始めるはるか前から受け継がれてきたものなのかもしれません。

ミニクイズ:犬にうつりやすいのは、見知らぬ人と飼い主、どちらのあくび?(タップして答えを見る)

こたえ飼い主のあくび。2025年の東京大学の研究で、見知らぬ人のあくびよりも飼い主のあくびの方が犬にうつりやすいことが分かり、心拍数の計測からストレスではなく絆によるものだと示されました。