豆知識

犬はなぜ鼻がこんなに良いの?

鼻を高く上げてにおいを嗅ぐ犬のイラスト

犬の鼻には人間よりもはるかに多くの嗅覚受容体があり、鼻の構造そのものがにおいを効率よく捉えるようにできています。それが「数千万倍」ともいわれる嗅覚の差を生んでいます。 A dog's nose can be millions of times more sensitive than a human's. Here's where that difference actually comes from.

この記事の結論

犬の鼻がよく利くのは、嗅覚受容体細胞が人間の数十倍以上(2億個以上対500万個)あることに加え、呼吸の通り道とにおいを分析する通り道が分かれた鼻の構造のおかげです。

🔍 ちょっと寄り道:動物同士に相性があるように、人同士にも相性があります。気になった方は相性診断を試してみてください。

嗅覚を感じ取る「センサー」の数がケタ違い

犬の鼻がよく利く第一の理由は、においを感じ取る嗅覚受容体細胞が人間よりケタ違いに多いことにあります。人間の場合、この受容体細胞は500万個ほどと言われています。

それに対して犬は種類にもよりますが2億個以上、ブラッドハウンドのような嗅覚に特化した犬種ではさらに多くの受容体を持つとされています。

センサーの数が多いということは、それだけごく微量のにおい分子も逃さず検出できるということ。人間なら気づきもしない薄いにおいの中から、特定の匂いだけを嗅ぎ分けられるのはこのためです。

息を吸う道と、においを分析する道が分かれている

二つ目の理由は鼻の構造そのもので、吸い込んだにおいを分析専用の部屋に長くとどめておける仕組みになっています。犬の鼻の中は、呼吸のための空気の通り道と、においの分子をじっくり分析するための部屋が一部分かれた構造になっています。

息を吐くときにはその一部が鼻の横のスリットから外へ抜けるため、吸い込んだにおいの粒子が鼻腔内に残りやすいのです。呼吸のたびに新しいにおいの情報を取り込みながら、古い情報の分析時間もしっかり確保できる、なんとも効率的なつくりです。

出典: Craven, B.A. et al. "The Fluid Dynamics of Canine Olfaction: Unique Nasal Airflow Patterns as an Explanation of Macrosmia" Journal of the Royal Society Interface, 2010. royalsocietypublishing.org

探知犬として活躍できるのも、この鼻のおかげ

こうした鼻の性能は、麻薬・爆発物の探知はもちろん、がんの匂いを見つける研究にまで生かされています。麻薬探知犬や爆発物探知犬は、その代表例として世界中で活躍しています。

近年ではさらに一歩進んで、がん患者の呼気や尿、皮膚からわずかに漂う匂いの変化を検出する「がん探知犬」の研究も進められており、一部の研究では検査機器に匹敵する精度が報告されているほどです。散歩中にクンクンと熱心に匂いを嗅いでいる姿も、実はものすごい情報処理をしている最中なのかもしれません。

豆知識プラスワン

犬の鼻先にある模様(鼻紋)は、人間の指紋のように1頭ごとに異なるパターンを持っています。海外の一部ペット保険会社では、この鼻紋を個体識別に活用する取り組みも行われています。

ミニクイズ:犬の嗅覚受容体の数は人間とだいたい同じ?(タップして答えを見る)

こたえ×。人間はおよそ500万個なのに対し、犬は種類にもよりますが2億個以上、嗅覚に特化した犬種ではさらに多くの受容体を持つとされています。