犬は好ましい相手には右寄り、警戒する相手には左寄りにしっぽを振るのだそうです。その差は、左右の脳の役割の違いを映しているといわれています。 Dogs wag their tails more to the right for someone they like and more to the left for something they are wary of, a difference thought to reflect how the two halves of the brain divide their work.
犬は好ましい相手には右寄り、警戒する相手には左寄りにしっぽを振るとされ、この左右差は「近づきたい」「避けたい」という気持ちに関わる左右の脳の役割の違いを映しているといわれています。
🔍 ちょっと寄り道:生まれ持った気質という意味では、人にも生年月日から占う視点があります。気になった方は黒曜診断を覗いてみてください。
右は「うれしい」、左は「用心」
犬は飼い主など好ましい相手には右寄り、警戒する相手には左寄りにしっぽを振り、その差は左右の脳の役割の違いを映しているとされるそうです。具体的には、飼い主など好ましい相手を見たときは、犬を正面から見て右側寄りに、大きく振ります。反対に、見知らぬ攻撃的な犬のような警戒する相手を見たときは、左側寄りに振るのです。
この左右の違いは、脳の働き方の差を映していると考えられています。私たちの脳は左右二つの半球に分かれていて、右脳は避けたり用心したりする気持ちに、左脳は近づきたい前向きな気持ちに、それぞれ深く関わっているとされます。しっぽの振れ方が右に寄るか左に寄るかで、そのとき犬の中でどちらの半球が強く働いているのかが、外から見えているというわけなのです。
この仕組みを最初に明らかにしたのは、イタリアのトリエステ大学にあるVallortigara研究室で、2007年にCurrent Biologyという学術誌で発表されたそうです。
出典: Quaranta, A., Siniscalchi, M. & Vallortigara, G. "Asymmetric Tail-Wagging Responses by Dogs to Different Emotive Stimuli" Current Biology, 2007. および Ren, F. et al. iScience, 2022. pmc.ncbi.nlm.nih.gov
| しっぽの振り方 | 気持ち・相手の傾向 |
|---|---|
| 右寄りに大きく振る | 好ましい相手への、近づきたい前向きな気持ち |
| 左寄りに振る | 警戒する相手への、避けたい・用心する気持ち |
三日かけて右へ動く心
2022年の追試では、人との交流を三日間重ねるうちに、ビーグル犬のしっぽの振り方が左寄りから右寄りへ段階的に移っていったのだそうです。この追試を行ったのは中国科学院遺伝子発生生物学研究所のチームで、2007年の研究をさらに一歩進めたものです。
深層学習、つまり人工知能に動きを学ばせる技術を使ってしっぽの動きを細かく追跡したのだそうです。結果はiScienceという学術誌に発表されました。このとき調べられたのは、実験室で飼育されたビーグル犬10頭です。
三日間の交流を通じて、はじめは用心ぎみだった心が、日を追うごとに前向きなものへ変わっていく様子が、しっぽの向きとして現れたのです。犬の気持ちは、しっぽの振れる方向という小さな手がかりから、案外はっきり読み取れるのかもしれません。
脳の左右差が行動に表れる現象は「機能的側性化」と呼ばれ、人間を含む多くの動物で報告されています。犬のしっぽも、その分かりやすい一例というわけです。
ミニクイズ:犬は好ましい相手に会うと、しっぽを左寄りに大きく振る?(タップして答えを見る)
こたえ×。好ましい相手には右寄りに、警戒する相手には左寄りにしっぽを振るとされ、これは左右の脳の役割の違いを映していると考えられています。