海獣なのに脂肪をため込めない、という体を張った「ざんねん」設計を、毛皮と大食いで力技カバー。 Why do sea otters have to eat so much? They're the only marine mammals with no blubber at all, so they burn through food just to stay warm.
ラッコは皮下脂肪をほとんど持たず、毛皮に閉じ込めた空気の層だけで保温しているため、体温を作り出すために毎日体重のおよそ4分の1もの量を食べ続ける必要があります。
- 皮下脂肪:他の海獣と違い、ほとんど持たない
- 毛皮:密度の高い二層構造で空気の層を閉じ込め保温する
- 食事量:体温を作るため毎日体重のおよそ4分の1を食べ続ける
- 毛づくろい:毛皮が汚れると保温力が落ちるため欠かせない仕事
🔍 ちょっと寄り道:動物同士に相性があるように、人同士にも相性があります。気になった方は相性診断を試してみてください。
海の哺乳類なのに、皮下脂肪がない
ラッコは海の哺乳類でありながら、他の海獣が当たり前に備えている皮下脂肪の層をほとんど持っていません。アザラシやクジラといった海の哺乳類は、冷たい海水の中でも体温を保てるよう、皮下脂肪と呼ばれる分厚い脂肪の層を体にまとっています。
同じ冷たい海で暮らしていながら、ラッコはこの「天然の断熱材」を持たずに生まれてきたのです。冷たい水の中で暮らす動物としては、なんとも「ざんねん」な体のつくりと言わざるを得ません。
頼みの綱は、ダウンジャケットのような毛皮
ラッコが冷たい海で体温を保てるのは、皮膚のそばに空気の層を閉じ込める毛皮のおかげで、ただしこれが汚れると断熱効果は一気に落ちてしまいます。皮下脂肪の代わりにラッコが頼っているのが、密度の高い二層構造の毛皮です。
閉じ込めた空気の層のおかげで、ちょうどダウンジャケットを着ているように体を冷たい海水から守れるわけです。ただし、この毛皮には弱点があります。汚れたり毛が絡まったりすると水をはじく力が失われ、体がずぶ濡れになってしまうのです。
そのためラッコにとって、毛皮を清潔に保つ毛づくろいは欠かせない仕事になっています。一枚の上着に命を預けている、ちょっと「ざんねん」で健気な暮らしです。
体重のおよそ4分の1を、ひたすら食べ続ける
脂肪を蓄えられないラッコは体温を保つために代謝量が非常に高く、毎日およそ体重の4分の1もの量を食べ続ける必要があるとされています。脂肪をため込めないということは、エネルギーの蓄えがないということでもあります。
体温を生み出すために、常に大量のエネルギーを燃やし続けなければならないのです。アメリカのモントレーベイ水族館(Monterey Bay Aquarium)の解説でも、皮下脂肪を持たない代わりに毛皮の空気層で体を守るラッコは、健康と体温を保つために体重の4分の1ほどを毎日食べる必要があると説明されています。
しかもこれだけ食べても、脂肪として蓄えることができないため太ることはなく、すべてが熱になって消えていきます。食べても食べても身につかない、なんとも「ざんねん」な燃費の体なのです。
出典: "Sea Otter" Monterey Bay Aquarium. montereybayaquarium.org
ラッコといえば、手をつないで眠る姿が有名ですよね。野生では、寝ている間に流されないよう海面の昆布に体を巻きつけてから眠りますが、昆布のない水族館の水槽では、その代わりに仲間と手をつないだり、飼育員さんの手に手を伸ばしたりして流されないようにしているのだそうです。愛情表現というより流され防止の本能ですが、大食いに追われる「ざんねん」な日々の中で、その姿はやっぱりとびきり可愛らしく見えます。