クマ科なのに笹しか消化できない、という体を張った「ざんねん」設計。 Why do pandas spend up to 14 hours a day eating? They're technically carnivores stuck with a bamboo-only diet their body was never built for.
パンダはクマ科なのに消化器官は肉食動物のまま。笹から吸収できる栄養はわずか1〜2割程度のため、1日12〜14時間・体重の2〜4割もの量を食べて栄養不足を補っています。
🔍 ちょっと寄り道:生まれ持った気質という意味では、人にも生年月日から占う視点があります。気になった方は黒曜診断を覗いてみてください。
クマ科なのに、消化器官は肉食動物のまま
パンダは主食を笹に切り替えたにもかかわらず、腸は肉食動物向けの短いままで、笹のセルロースをうまく消化できないと考えられています。パンダはクマ科の動物で、祖先は他のクマと同じく肉食寄りの雑食性でした。
進化の過程で主食だけが笹や竹に変わり、消化器官は置き去りにされた格好です。草食動物のような複雑な胃や長い腸を持たないため、繊維質だらけの笹を消化する効率が非常に悪く、摂取したセルロースのうち体に吸収できるのはわずか1〜2割程度とも言われています。
実際、中国科学院などの国際研究チームがジャイアントパンダの全ゲノムを解読した研究でも、パンダは肉食動物として必要な遺伝子は一通り備えている一方、セルロースを分解する消化酵素の遺伝子を欠いていることが報告されています(Li et al., 2010, Nature)。
出典: Li, R. et al. "The Sequence and De Novo Assembly of the Giant Panda Genome" Nature, 2010. nature.com
効率が悪いなら、量と時間で押し切るしかない
答えは単純で、パンダは起きている時間の大半にあたる1日12〜14時間を食事にあて、体重の2〜4割もの笹を食べて栄養不足を補っています。体重100kgのパンダなら、1日に20〜40kg近くを平らげる計算です。
食事以外の時間もほとんど休息にあてる、超省エネ生活を送っています。せっかくの肉食動物譲りの俊敏な体を持て余し気味な、なんとも「ざんねん」な生態です。
赤ちゃんパンダも規格外に「ざんねん」
食事だけでなく出産も規格外で、赤ちゃんパンダは母親の体重の900分の1ほど、わずか100〜200g程度という極端に未熟な状態で生まれてきます。哺乳類の中でも飛び抜けて小さな新生児で、目も開かず毛もほとんど生えていない姿で誕生し、母親に踏まれてしまう事故さえ報告されるほど。栄養効率の悪い食生活が繁殖にまで影響しているのではという説もあり、パンダの「ざんねんさ」は生まれた瞬間から始まっているのかもしれません。
- 消化効率:笹のセルロースの栄養吸収はわずか1〜2割程度
- 食事時間:1日12〜14時間を食事にあてる
- 食べる量:体重の2〜4割もの笹を1日で平らげる
- 出産:赤ちゃんは母親の体重の900分の1、わずか100〜200gで誕生
消化の効率は悪くても、食べる動作そのものは意外と器用です。パンダの前脚には親指のように使える突起状の骨(通称「第六の指」)があり、これで笹の茎を挟むようにつかんで器用に食べ進めます。ざんねんな消化器官とは対照的な、進化がもたらした巧みな工夫と言えそうです。