ざんねん習性

キリンはなぜ横になってほとんど眠らないの?

夕暮れのサバンナにアカシアの木とともに立つキリンのイラスト

動物園でも1日4時間半ほどしか眠らず、野生ではその貴重な「横になって眠る時間」が一晩にわずか数分。首も脚も長すぎて、寝転ぶこと自体が命がけになってしまった「ざんねん」な体のつくりです。 Why do giraffes barely sleep? Lying down is so risky for an animal built like that, wild giraffes save it for just a few minutes a night.

この記事の結論

キリンは長すぎる首と脚のせいで横になると立ち上がるまでに時間がかかり天敵に狙われやすいため、野生では横になって深く眠る時間が一晩わずか8.6分ほどしかありません。

  • 動物園のキリン:152夜の記録で睡眠は1日合計 約4.6時間
  • 野生のキリン:横になって深く眠る時間は一晩平均 約8.6分
  • 睡眠の短さ:本文の記述では人間の半分以下、コアラと比べれば4分の1ほど
  • 横にならない理由:長い首と脚では立ち上がりに時間がかかり天敵に狙われやすい

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動物園のキリンでも、睡眠は1日4.6時間ほど

飼育下のキリンを152夜にわたって記録した研究によると、睡眠時間は1日合計でおよそ4.6時間で、そのほとんどは夜間だったそうです。つまりキリンの睡眠の短さは、動物園でのじっくりした観察でも確かめられているわけです。

この古典的な睡眠研究(Tobler & Schwierin、Journal of Sleep Research)によると、昼間は短いうたた寝を挟む程度。人間の半分以下、コアラと比べれば4分の1ほどの睡眠で、あの巨体を毎日動かしていることになります。

しかもこれは天敵のいない安全な動物園での数字。野生ではどうなのかと調べてみたら、さらに驚く結果が待っていました。

野生では「横になって眠る」のが一晩にたった8.6分

野生のアンゴラキリンを追跡した2023年の研究では、横になって眠る時間は一晩に平均わずか8.6分ほどだったことが明らかになっています。これはナミビアに暮らす個体に加速度計を取り付けて追跡した研究(Frontiers in Mammal Science)によるもので、体を横たえ、頭を自分のわき腹や地面に預ける深い眠り「REM睡眠(体は休んでいても脳が活発に働き、眼球が素早く動く眠りの段階)」の姿勢だけを数えた数字。

日暮れ直後と夜明け前に集中した2回ほどの短い寝入りに分かれていました。ただし注意したいのは、この8.6分には立ったままの浅いまどろみが含まれていない点です。

キリンはウマのように立ったままうとうとすることもできるので、「まったく休んでいない」わけではありません。それでも深く眠れる時間が一晩に10分に満たないというのは、なんとも切ない数字です。

出典: Burger-Schulz, A.L. et al. "Accelerometry Reveals Nocturnal Biphasic Sleep Behavior in Wild Giraffe" Frontiers in Mammal Science, 2023. frontiersin.org

横になるのは、長い首と脚には命がけ

横になると無防備なうえ、長い脚と首のせいで立ち上がるまでに時間がかかって逃げ遅れるため、天敵への警戒から横になるのを避けているというのが最も広く挙げられている理由です。だから野生のキリンは、この無防備な姿勢をできる限り減らし、休息のほとんどを立ったまま済ませ、本当に横になって眠るのは一晩で最も暗く安全な時間帯に数分だけ。

高い枝の葉を独り占めできる自慢の体が、眠る時だけは足を引っ張る。首が長いのは得なことばかりではない、というキリンならではの「ざんねん」な事情です。

豆知識プラスワン

キリンの舌は、濃い青紫色をしています。サンディエゴ動物園などの解説によると、高い枝の葉を食べる間ずっと舌が日差しにさらされるため、日焼けや紫外線のダメージから舌を守るための色だと考えられています。

ミニクイズ:野生のキリンは一晩に長時間横になって眠る?(タップして答えを見る)

こたえ✕。野生のキリンが横になって深く眠る時間は一晩平均わずか8.6分ほど。動物園で暮らす個体でも睡眠は1日合計4.6時間ほどしかない。